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執筆者の写真Sami

エンジンオーバーホール①

更新日:2019年12月13日


当店が得意とする修理のひとつにエンジンのオーバーホールがあります。

お陰様で、開店以来たくさんのご依頼をいただき、

今では日常的にオーバーホールをしています。

 そこで、Sami motorcycleのエンジンオーバーホールについて、紹介したいと思います。

1. まず、エンジンオーバーホールを考えるタイミングってどんな時?

① 加速がにぶい。

② エンジンからオイルが漏れ出てる。

③ エンジンオイルの減りが早い。

④ マフラーから白い煙が出る。

⑤ エンジンから異音がする。    などなど。

2. ところで、そもそもオーバーホールってなに?

 オーバーホール【overhaul】( 名 ) スル

一定の使用期間を経た機械・エンジンなどを分解して検査・修理すること。 (大辞林)

 オーバーホール(Overhaul)とは機械製品を部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業のことである。(Wikipedia)

3. 「エンジンのオーバーホール」実は、定義がとってもあいまいなんです。

上記のとおり、エンジンをバラバラにして、検査し、掃除して、劣化部品交換して、再び組み立てればオーバーホール。

 具体的に何をどのようにやらなければならないという定義は存在しないため、同じ車両のエンジンであっても、お店それぞれで、やり方、清掃のレベル、修繕の具合も違います。

 ただ、そもそもオーバーホールする目的は、新車時の性能状態に近づけ、エンジンの寿命を延ばすこと。

 掃除して、ただただ劣化部品を交換して組み立てるだけでは、当初は良いかもしれませんが、新車時の状態とは程遠く、少しの延命はできても、間もなく不調を感じてくることでしょう。

4. そこで、Sami motorcycleのエンジンオーバーホール

① オーバーサイズピストンにチェンジ!

ⅰ まずエンジンの役割と仕組みについて

 エンジンは、空気と燃料(ガソリン)を混ぜて爆発させ、その爆発の勢いをピストンという部品が受け、ピストンがひたすらピストン運動を繰り返してタイヤに動力を伝えます。

 ピストンを収容している円筒の部品をシリンダーと言います。

下の動画は、4サイクルエンジンの参考動画です。

ⅱ ピストンとシリンダーの関係

 高速で、シリンダーの中を、往復運動しているピストン。

実は、このピストンを収容しているシリンダー、

摩擦で樽型に削れてしまっているのです。

 ピストンの周りにはピストンリングという軸受けがはめられています。

 よくある、エンジンオーバーホールでは、このピストンリングを交換してOKとなりがちです。

 ピストンリングを交換しただけでも、当初は、調子を取り戻した感じはあります。

 しかし、シリンダーは樽型のまま。。。

ⅲ 樽型シリンダーを真っ直ぐに

 新車時のピストンとシリンダーの隙間はなんと、0.05㎜!!

もちろん、シリンダーの内側はまっすぐ。

また、メーカーはピストンとシリンダーの隙間が1.0㎜になるまでにエンジンオーバーホールをするよう推奨しています。

 このメーカー推奨のエンジンオーバーホールとは、ピストンリングの交換のことではありません。

 もちろん、掃除して組み立てるだけでもありません。

やるべきは、

樽型に削れたシリンダーを真っすぐに切削して、一回り大きなピストンに交換し、

シリンダーとピストンの間隔を調整すること。

 つまり、樽型に削れたシリンダーを削ってまっすぐにするということは、シリンダーの内径は当初より広がってしまいます。そのために、ピストンを大きなものに交換する必要が出てくるということですね。

☆豆知識☆ 

メーカーは、オーバーホールができるように、新品時のピストンから0.25㎜ずつ大きいピストン(オーバーサイズピストン)を4つまで用意しています。(+0.25 → +0.5 → +0.75 → +1.0)

つまり、4回オーバーホールできるってこと。(※ただし、近年作られた車両には用意されていません。)

これをやることで、エンジンの寿命は格段に延ばすことができるのです!

当店では、この作業もしっかり行うことができます。

② バランスの調整 ~二気筒以上のバイクは、バランスが大事!!~

   ※気筒数=シリンダーの数のこと。

    単気筒=シリンダー1個 二気筒=シリンダー2個 三気筒=3 四気筒=4

 長く乗っていると、それぞれの気筒のバランスが狂ってきてしまいます。

 このバランスを整えることも、とっても大切なことなのです。

 バランスを整えることは、スムーズな走りにつながります。

 このバランス調整は、経験が左右する作業です。

 当店では、これまで行った数々のオーバーホール経験を活かし、バランス調整までしっかりさせていただきます。

 

 以上、Sami motorcycleのエンジンオーバーホールのほんの一部を紹介しました。

 せっかく、費用をかけてエンジンをおろすのであれば、次回エンジンオーバーホールが必要となるまで、少しでも長く乗ってもらいたいという思いのもと、上記で紹介した作業以外にも、新品時のエンジンに近づけられるように、細かいところまで点検しながら作業しています。

全てのエンジンが同じ状態であるはずもなく、必要な作業もあれば、必要のない作業もあります。

 「今のところ、すぐにやる必要はないけど、前もってやっておこう。」

 「予算の関係で、今回は、ここまでにしておきたいな。」

など、オーナー様のご要望を伺った上でアドバイスさせていただきます。

 専門的な分野のため、わからなくて不安に思うこともあるかもしれません。

 できる限り、わかりやすい言葉で、丁寧にご説明いたしますので、詳しい話は直接店主にご相談ください。

また、こちらのページもご参考ください。 オーバーホール豆知識

次回は、エンジンオーバーホールのメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。

 ここまで、長々と読んでいただき、ありがとうございました。


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